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2011年3月(三代目主催者 若原光彦)までの記録として
管理、公開されています(更新履歴)。
2011年夏からの情報は(五代目主催者 三原千尋さん)の
Twitter @ametotaiyo をご参考ください。
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2006年7月11日〜
2007年3月14日の録音
2007年3月14日の録音
●はじめに
昨年7月から、先月(2007年3月)までの録音です。前回の掲載と同様、各出演者さんごとにファイルを分けてあります。なお本人のご希望により、一部のお名前・音声は伏せさせていただいてます。
そのほか、若原の判断により不掲載にした部分もあります。「これは良いものだから、ぜひ作品に集中して聞いてほしい!」とフリートークをカットしたり。「楽しそうだな、このムードは残したいな」と思えばトークをそのままにしたり。私なりに考えて作業しました。
自然さを損なわないように、現場の雰囲気を味わっていただけるようにとの意図から、音量の調整はしませんでした。聞き取りづらい部分もあるかと思いますがご容赦ください。
●録音を聞くには
いちファイルのみを聞きたい場合は、各所の「♪」リンクをクリックして下さい。MP3ファイルがダウンロードされ、PC内の再生ソフトで再生されると思います。
複数を連続して聞きたい場合は、各所の「♪PLAYLIST」リンクをクリックして下さい。再生リストファイル(M3Uファイル)がダウンロードされ、MP3ファイルが連続で再生されるはずです。
うまく再生できなかった場合はこちらのページを参考にしてみてください。
どの音声ファイルも、MP3、ステレオ、80kbpsです。ごゆっくりどうぞ。
●ぜんぶ連続再生したい場合はこちら
「詩のあるからだ」2006年7月11日〜2007年3月14日の録音
4時間58分 171MB MP3 ステレオ 80kbps
♪PLAYLIST
以下の全MP3ファイルを再生するプレイリストです。5時間もあるのでさすがにおすすめはしませんが、一覧したい方、ランダム再生したい方に向けて作ってみました。
●2006年7月11日の録音 ♪PLAYLIST
7名の方がエントリーされました。
会場の事情で、例外的に火曜日の開催でした。若原のコメントは控える形で、さらっとした司会で進めてみました。そのため、ちょっとしっとり、淡々とした雰囲気になりました。ワールドカップの直後でしたから、ジダンの頭突きなんかが話題に出てました(笑)。
この回では、水樹結穂(みづきゆうほ)さんがいらっしゃいました。「詩のあるからだ」の前々身、「詩のあるくちびる」のころも何度かお目にかかった方です。そのころも、短歌をよくリーディングされていましたね。うれしかったです。
よみくらべスラムでは、ミヒャエル・エンデ「鏡のなかの鏡―迷宮―」より、短編「黒い空のした、ひとの住めない国が……」のいち部分を取り上げました。ある見世物小屋で、司会者が観客に呼びかけています「やっていただきたいのは、ひとりの綱渡りを全力で想像することです。姿が見えますか?」。観客の想像がショーを成り立たせていく、魔術的な情景です。「みなさんはリーディングによって、この綱渡り師を浮かび立たせられますか?」という、若原からの挑戦状でした。
全体に票がばらつきましたが、僅差で長谷川節子さんが1位でした。落ち着いたテンポ、優しく声質が、丸くイメージを包み込んだのかもしれません。長谷川さんに同書より「教室では雨がたえまなく降って……」の部分を読んでいただいて会を閉じました。こちらは、登場人物が次の世界への旅立ちに迷うシーンです。登場人物の少年が発する「ぼくらにはあなたは重要じゃない」「でもぼくらの芝居にはどんな人でもふさわしいんです」というセリフが、きりっと響きました。
●2006年8月9日の録音 ♪PLAYLIST
10名の方がエントリーされました。
再び、通常通り「第2水曜」に戻っての開催です。水尾佳樹さんの詩「本を奏でる」は素敵な作品です、録音で公開できることをうれしく思います。この日は、水尾さんのイベント「Bird-6 ―夏を笑う―」の直前でした。
またこの日は、夏撃波さんによる「竹田の子守唄」も聞くことができました。ミンミン(という弦楽器)の音色とメロディがとてもマッチしてました。歌詞も深いんですよ、いい曲です。
よみくらべスラムでは、中島みゆきの「あたいの夏休み」より、1〜2番を用いました。この歌詞を選んだのには理由があって。
数年前の八事オープンマイク「詩のあるくちびる」で、ある夏の回、当時の「よみくらべスラム」にサザンオールスターズが使われたことがあったんです。自分はいち参加者だったのですが、どう読めばいいのかわからず、手の着けようがありませんでした。私以外の方も、リーディングがグズグズだったり、棒読みだったり、弾き語りしてみて途中でやめたり……戸惑いがもろに噴出していました。サザンはむずかしい!
そのむずかしさと面白さが記憶に強く残っていて。「あれは印象的だったなあ。自分いつか夏に、よみくらべスラムへ難しそうな歌詞を出してやろう」と狙っていたんです。そしてついに出したのが、「あたいの夏休み」だったというわけです。
みなさん、特徴的な読み方をされて盛り上がりました。「どうだむずかしいだろう?!」と意気込んで選んだテキストでしたが、意外にあっさり読みこなされてしまい、うれしい誤算となりました。若原による作品解説のあと、1位となった江藤莅夏さんに3番までをリーディングしていただいて会を閉じました。
●2006年9月13日の録音 ♪PLAYLIST
オープンマイクには、11名の方がエントリーされました。
トップバッター夏撃波さんは「イムジン川」を演奏されました。間奏の口笛がきれいに響いていました。その後は、若原、長谷川さん、岡本さんと、動物に関連したリーディングが続きました。たまたま偶然なんですけれども。
よみくらべスラムには、7名の方がエントリーされました。ISAMUさんのお知り合いで、オープンマイクを観覧されていた野原明日香さんも参加されました。
使用作品の著作権が消滅しているので、この回のスラムは録音を公開します。なお「詩のあるからだ」のよみくらべスラムは「そのまま読まなくてもいい。フレーズを足し引きしてもいい」というルールで行われているため、音声と原作テキストが一致していないものもあります。
使用したテキストは、高村光太郎(1883-1956)の詩「あどけない話」です。「智恵子は東京に空が無いといふ、/ほんとの空が見たいといふ。」という書き出しの、有名な作品です。青空文庫に収録されている「智恵子抄」で読むことができます。現代でも人気の高い詩集ですね。没後50年で著作権が切れたこともあり、取り上げてみました。
ところで。よみくらべスラムの「改変OK」というルールには、良し悪しがあります。「変えることでウケを狙えてしまう」とか「ちょっとした変更だけで個性が出せてしまう」とか。「変えたもの勝ち」になってしまう危険性があるのです。
既に完成されているテキストを(オープンマイクというくだけた場であれ)変えてしまうのは不謹慎ですし、リスキーなことです。シリアスな内容ならなおさらです。……原文そのままの味を引き出すのか、変えてくずして新しい何かを引き出すのか。引き出せるのか。いずれにせよ、元テキストの特性をどれだけ掴めるかが重要になります。ただいじくればいいというものではないんです。
「改変OK」というルールは、改変を推奨するものではありません。作品をあらゆる面から検討してほしい、作品から高い何かを生んで欲しいという思いから認めています。録音音声をお聞きになった方には、どのような「空」が広がったでしょうか。
最後に、1位になった野原明日香さんに「レモン哀歌」をリーディングしていただき、会を閉じました。張りのある緊迫感と、たれこめる儚さと。せつせつとした、いいリーディングだったと思います。
●2006年10月11日の録音 ♪PLAYLIST
8名の方がエントリーされました。
前回のスラム1位、野原明日香さんがオープンマイクに初登場されました。たどたどしい音の切り方が、内容の緊張を高めていたように思います。いい刺激になりました。古村哲也さんの作品「かっこわらい」も面白かったですね。ものすごい勢いでメールを送りあっているような情景が頭に浮かびました。
この日のよみくらべスラムでは、谷川俊太郎の詩「朝のリレー」を用いました。「曲々玉々」というビッグイベントの直前だったため、宣伝と闘魂注入を兼ねて、あえてあからさまなセレクトをしてみました。
青流星さんの、すくすくほがらかな読み方も素敵でしたし、古村さんの、ひとことずつ抑揚に神経はらった丁寧なリーディングも素敵でした。水尾佳樹さんは、「朝のリレー」そのものを読むのではなく、感想や連想したことをポツリポツリと語られました。会場がしーんとはりつめて、全員の耳が傾いていました。のみぴょんさんの、硬い声質で紳士的なリーディングにも味がありました。
1位になったのは長谷川節子さんでした。ナチュラルさが聞く人を安心させ、スムーズにイメージを呼んだのかもしれません。1位となった長谷川さんに「おべんとうの歌」をリーディングしていただいて会を閉じました。意識して淡々と読まれていたようですが、詩の盛り上がりとともに読み方もだんだん抑揚が高くなっていました。テキストの力を感じました。
●2006年11月8日の録音 ♪PLAYLIST
11名の方がエントリーされました。よみくらべスラムは行わず、そのぶん「ひとり6分を目安に」との時間制限をゆるめて開催しました。
ある方が久々に登場されました(エントリーシートによるご指定に従い、お名前は「匿名希望さん」として伏せさせていただきます)。よっぱらいがムードを牽引する、にぎやかで騒がしい、普段のオープンマイクとは違った空気で展開しました(笑)。
シンジさんも久々の登場でした。初参加の渡辺絵里さんは、すてきな歌を聞かせてくださいました。ISAMUさんはジョークが炸裂してましたね、イベント告知なのに笑いを取っちゃって……。ツバキ嬢さんがリーディングの枕にされた恋愛談もおもしろかったな。にぎやか、華やかな夜でした。楽しかったです。
●2006年12月13日の録音 ♪PLAYLIST
12名の方がエントリーされました。
12月でした。2004年12月に始まった「詩のあるからだ」ですが、3年目へ突入したことになります。
野原明日香さんのお話から、政治や歴史などのフリートークがこぼれたりしました。山崎浩太さんは、野本直美の「ジュリア」をピアノで弾き語りされ、秋田洋平さんはお仲間の方とクリスマスソングを演奏してくださいました。かっこよかったです。
ぐうぜん会場にいらしたお客さん(上記リストの「匿名希望さん」。先月の方とは別のかたです)も飛び入り参加してくださって、場がにぎわいました。ある方の誕生日が近かったこともあり、バースデーソングとケーキのプレゼントもありました。
よみくらべスラムでは本間祐の「超短編SENGEN」より超短編「昼の電車」を選びました。「超短編」は近年盛り上がっている小説形態です。わずか数行の短い物語で、その短さゆえに鋭いキレ、鮮やかさ、濃密さ、素早さを持ちます。内容も、言葉遊びからミステリー、恋愛、人生までいろいろ。スマートかつ奥の深い分野です、一度取り上げてみたかった分野でした(今回使用した本「超短編SENGEN」には、超短編作品のほか、超短編の歴史、創作理論についても書かれてあります。興味のある方はぜひご一読を。おすすめです)。
すとんすとんと進むシンジさんの読み方にも、じっとり不気味に進行する夏撃波さんの読み方にも工夫を感じました。匿名希望さんの、ラジオドラマのようなリーディングが光っていましたね。声にハリがあって、はっきりと表情が響いて。物語によく合っていました。
最後に、1位になった江藤莅夏さんに超短編「市場の休暇」を読んでいただいて会を閉じました。散文ですが、江藤さんのリーディングは詩のリズムで行われました。作品の不思議な雰囲気がより強調されたように感じました。超短編の朗読は、シンプルゆえに方向性や色づけに悩まされる、難易度の高いものだったと思います。いい刺激となってもらえたなら幸いです。
●2007年1月10日の録音 ♪PLAYLIST
11名の方がエントリーされました。
年も変わって2007年、トップバッターは水尾佳樹さんにお願いしました。「自分が生まれてから何秒が経ったか」というお話で、数字がいっぱい出てきました。ISAMUさんは地元、大曽根を激励する作品を読まれました。あたたかく、地に足の着いた、地元愛に溢れるテキストです(ところどころ噛んでしまわれたのが残念でした。でも、いい作品だと思います)。
SUEMITSUさんはこの月が初登場です。名古屋のポエトリーリーディングシーンでは音楽や楽器を使われる方があまりいませんが、音楽活動の側からポエトリーの世界に興味を持ち参加して下さいました。録音を聞いていただければわかりますが、とても高品質です。グサッと刺さる部分もありますが、全体的にはオシャレで涼しく、心地よい。安心して、身をゆだねて聞けます。……すごい人が来られたなあ、気が抜けないなあ、とドキドキです。ここから新しい風は吹くのかな。
ツバキ嬢さんにも「おおっ」とうならされました。他の方のパフォーマンスで出た単語やイメージを取り入れて、即興詩をリーディングされたんです。リーディングという、生の場を活かしたアピールでした。言葉の継ぎめがでこぼこしていない、スムーズなリーディングでした。即興とは思えないくらい。
シンジさんは、お友達の出された詩集から2編をリーディングされました。2編とも、食卓のイメージが重なっていました。調理手順の残酷さと、素材のみずみずしい美しさ。しめっぽさと、ドライさ。まじめな読み方がうまく働いた、深みのあるリーディングでした。よかったと思います。
よみくらべスラムでは、高橋源一郎の小説「さようなら、ギャングたち」より、ギャングが銀行を襲撃したシーンを取り上げました。「本物のギャング、本物の銀行強盗に遭遇できて、主人公たちが感激している」というへんてこなシーンです。この物語は小説ですが、ストーリーやセンスの点で、詩や詩人を扱っています。詩作者さんが多い当会で取り上げた場合どのような反応が起こるか……興味がわいたので、本の紹介もかねて選んでみました。
ツバキ嬢さんの瞬発力が生んだキッチュさ。長谷川節子さんが展開させたひょうきんさ。ハイテンションで読み、走馬灯のように一気に見せたシンジさん。疲れたように、ちょっとハスに構えた雰囲気を見せた飛び入り参加の方。安定した江藤節でしっとり幻想的な状況を作り出した江藤莅夏さん。銀行強盗のハプニング性をユーモラスに読んだISAMUさん。水尾さんの加えられた「本当に怖くなったのは、帰って、テレビのニュースを見てからだった」というオチもうまかったです。
どれも面白かったんですが、1位は江藤莅夏さんでした。若原の解説のあと、江藤莅夏さんに同書より「第二部 詩の学校」のラストを読んでいただいて会を閉じました。「詩の学校」で講師をしている主人公が、詩を教えるとはどういうことなのか、誰がどんな詩を書くだろうか、ぼんやりと考えているシーンです。興味がある方はぜひ読んでみてください、名文です。
●2007年2月14日の録音 ♪PLAYLIST
10名の方がエントリーされました。よみくらべスラムは行いませんでした。
たまたま偶然、2月14日バレンタインデーでした。女性陣が男性陣にチョコレートをくださいました(長谷川節子さんは、チョコに添えて手作り詩集もくださいました)。ありがとうございました。義理だとわかっていても、やっぱりうれしいもんなんですね、あれ。ここ何年もバレンタインなんかに縁がなかったものですから、新鮮でした。
若原の状況はさておき。この月も初参加の方がいらっしゃいました(ご希望によりお名前は伏せさせていただきます)。マイクに不慣れなご様子でやや音量が小さくなってしまったのですが、オチにキレのある、スカッとユニークな作品でした。顔面直撃の変化球。ああした作品、好きです。
この日はSUEMITSUさんの炸裂も印象深かったですね。先月は弾き語りで立たれたSUEMITSUさんですが、この回は持ち込まれた機材とトラックを利用してのリーディングでした。創作表現をされている方にはズキンと来る部分も含めつつ、全体としては接した人を高揚させてくれるんです。
そのほか、若原はある書きかけの詩をリーディングしました。私にしては珍しく、恋愛を取り扱った作品です。テキストもリーディングもボロボロでしたが、こんな日でなければ「公開に踏み切れないかもしれない」と思い切って出してみました。のみぴょんさんからいただいた「似たような人は似たようなこと考えのかなあと思って聞いてました」というコメントが微妙にうれし恥ずかしかったです。
青流星さんがリーディングされた、俳優、豊川悦司の詩集は興味深かったなあ。「豊川悦司ってこんなロマンチックなこと書くんだ」と驚きました。ツバキ嬢さんのリーディングにあった「セックスだけが誠実だと思っている」という一語もズキンときました。バレンタインデーだからと恋愛をテーマにしたわけではなかったのですが、この日に乗じた、ある種の親近感がただよっていたと思います。いつも以上になごやかな会でした。
●2007年3月14日の録音 ♪PLAYLIST
11名の方がエントリーされました。この月も、よみくらべスラムは行いませんでした。よい題材がみつからず、間に合いませんでした。
2月はバレンタインデーでしたが、3月はホワイトデーに当たりました。今度は男性陣が女性陣へお菓子をプレゼントしました。若原の包みが一番しょぼかったです。ホワイトデーのプレゼントなんて初めてだったもので……わあん。毎年バレンタインをこなす女性たちはすごいわ、と思い知ったしだいです。
さて、この日はISAMUさん主催によるライブイベント「言葉ズーカ Vol.その8」の直前でもありました。そのため、フリートークやMCでは「告知をいかに飽きさせずに楽しくやるか」という流れが発生していました。くり返しギャグの部分もありつつ(笑)。
先々月、先月に続き、また新たな参加者さんがいらっしゃいました。静岡より麿野マロンさんです。私は2編めに読まれた「ヤマハナグリに関する一考察」にとてもひかれました。冒頭「そういえば昔、ヤマハナグリをポケットに入れて山に行ったよね。そうだね懐かしいね。でも、でも今の子供たちは知らないんだろうな。たしかに、僕らが中学生のころからか、だんだんとプラスチック製のものに変わっていったよね」と始まる、ソワソワさせられる内容でした。春先という時節、どこか呼び起こされるものがあるような。
この日は、終盤になって一般のお客さん(詩のあるからだを目的にいらしたのではない方。飲食にいらしたお客さん)が増えたので、9番めの若原以降は会場の雰囲気が変わりました。10番めツバキ嬢さん、11番め山崎浩太さんは、やりづらかったかもしれません。でも、私は会場に「ご静粛に」と求めるなどのフォローはしませんでした。
当会は、「自分の表現を人前に出してみる場」であると同時に、「自分の表現が一般の方(創作などをされているわけではない方)にも通用するか試される場」でもあります。おふたかたにとってつらい状況だったかもしれませんが、こうした経験ができるのもオープンマイクならではです。
●ふりかえって
まずよみくらべスラム。やっぱり面白いです。よい題材がみつからなくて最近困っているのですが、今後も開催したいですね。ネットに音声をアップできる、著作権の切れた作品がベストなんですが……50年以上前の作品はリーディングに適していないものが多くて悩んでます。いいテキストがあったらぜひ教えてください、よろこんでリクエスト受け付けます。
音声を聞き返して、ISAMUさんやシンジさんのトークに救われていた面にも気づきました。私はいつもローテーションぎみですから。場を沸かせていただける方に多く助けられていました。のみぴょんさんの歌に支えられた部分も多かったと思います。詩が続いてしんみりしすぎたとき、音楽が清涼剤となり、場の雰囲気が切り替わったり。江藤莅夏さんがリーディングを始めたとたんに場が静かになったことも多かったな。いろんな方のカラーが会を作ってきたんだと実感しました。
問題点もひとつ。録音を聞いてよくわかったのですが、「ひと組6分以内を目安に」というルールが形骸化しちゃってます(よみくらべスラムを行わず、時間に余裕のある回はそれでもいいんですが……)。しばらくは現状どおり「6分を超えてもペナルティがあるわけではない」として進めますが、あまり場が緩みすぎてもいけないので、持ち時間に関しては今後考えていこうと思っています。たぶん、何らかの方法で経過時間をお知らせするシステムになると思います。
会場全体としては、新しい方がいらっしゃるようになったり、参加者さんにお連れの方がいらしたり、一般のお客さんが最後まで観覧して下さったり、じわじわとですが賑わいが増してきたように感じてます。参加者さんのパフォーマンスにも幅が出てきた気がします。
定期開催で広く門を開きつつ、毎回なにが展開するかわからない。安定感と不安定さとのなかで、それぞれの参加者さんが表現を試し自身を高めていってもらえたらと思っています。会を乗っ取るぐらいの意気で使っていただければ本望です。
あっというまの2周年越えでした。先々代の「詩のあるくちびる」から数えると、5年が経過したことになります。早いものですね。「詩のあるからだ」2006年度、ありがとうございました!
昨年7月から、先月(2007年3月)までの録音です。前回の掲載と同様、各出演者さんごとにファイルを分けてあります。なお本人のご希望により、一部のお名前・音声は伏せさせていただいてます。
そのほか、若原の判断により不掲載にした部分もあります。「これは良いものだから、ぜひ作品に集中して聞いてほしい!」とフリートークをカットしたり。「楽しそうだな、このムードは残したいな」と思えばトークをそのままにしたり。私なりに考えて作業しました。
自然さを損なわないように、現場の雰囲気を味わっていただけるようにとの意図から、音量の調整はしませんでした。聞き取りづらい部分もあるかと思いますがご容赦ください。
●録音を聞くには
いちファイルのみを聞きたい場合は、各所の「♪」リンクをクリックして下さい。MP3ファイルがダウンロードされ、PC内の再生ソフトで再生されると思います。
複数を連続して聞きたい場合は、各所の「♪PLAYLIST」リンクをクリックして下さい。再生リストファイル(M3Uファイル)がダウンロードされ、MP3ファイルが連続で再生されるはずです。
うまく再生できなかった場合はこちらのページを参考にしてみてください。
どの音声ファイルも、MP3、ステレオ、80kbpsです。ごゆっくりどうぞ。
●ぜんぶ連続再生したい場合はこちら
「詩のあるからだ」2006年7月11日〜2007年3月14日の録音
4時間58分 171MB MP3 ステレオ 80kbps
♪PLAYLIST
以下の全MP3ファイルを再生するプレイリストです。5時間もあるのでさすがにおすすめはしませんが、一覧したい方、ランダム再生したい方に向けて作ってみました。
●2006年7月11日の録音 ♪PLAYLIST
7名の方がエントリーされました。
会場の事情で、例外的に火曜日の開催でした。若原のコメントは控える形で、さらっとした司会で進めてみました。そのため、ちょっとしっとり、淡々とした雰囲気になりました。ワールドカップの直後でしたから、ジダンの頭突きなんかが話題に出てました(笑)。
この回では、水樹結穂(みづきゆうほ)さんがいらっしゃいました。「詩のあるからだ」の前々身、「詩のあるくちびる」のころも何度かお目にかかった方です。そのころも、短歌をよくリーディングされていましたね。うれしかったです。
よみくらべスラムでは、ミヒャエル・エンデ「鏡のなかの鏡―迷宮―」より、短編「黒い空のした、ひとの住めない国が……」のいち部分を取り上げました。ある見世物小屋で、司会者が観客に呼びかけています「やっていただきたいのは、ひとりの綱渡りを全力で想像することです。姿が見えますか?」。観客の想像がショーを成り立たせていく、魔術的な情景です。「みなさんはリーディングによって、この綱渡り師を浮かび立たせられますか?」という、若原からの挑戦状でした。
全体に票がばらつきましたが、僅差で長谷川節子さんが1位でした。落ち着いたテンポ、優しく声質が、丸くイメージを包み込んだのかもしれません。長谷川さんに同書より「教室では雨がたえまなく降って……」の部分を読んでいただいて会を閉じました。こちらは、登場人物が次の世界への旅立ちに迷うシーンです。登場人物の少年が発する「ぼくらにはあなたは重要じゃない」「でもぼくらの芝居にはどんな人でもふさわしいんです」というセリフが、きりっと響きました。
●2006年8月9日の録音 ♪PLAYLIST
10名の方がエントリーされました。
- おまけ。よみくらべスラムの若原コメント♪
再び、通常通り「第2水曜」に戻っての開催です。水尾佳樹さんの詩「本を奏でる」は素敵な作品です、録音で公開できることをうれしく思います。この日は、水尾さんのイベント「Bird-6 ―夏を笑う―」の直前でした。
またこの日は、夏撃波さんによる「竹田の子守唄」も聞くことができました。ミンミン(という弦楽器)の音色とメロディがとてもマッチしてました。歌詞も深いんですよ、いい曲です。
よみくらべスラムでは、中島みゆきの「あたいの夏休み」より、1〜2番を用いました。この歌詞を選んだのには理由があって。
数年前の八事オープンマイク「詩のあるくちびる」で、ある夏の回、当時の「よみくらべスラム」にサザンオールスターズが使われたことがあったんです。自分はいち参加者だったのですが、どう読めばいいのかわからず、手の着けようがありませんでした。私以外の方も、リーディングがグズグズだったり、棒読みだったり、弾き語りしてみて途中でやめたり……戸惑いがもろに噴出していました。サザンはむずかしい!
そのむずかしさと面白さが記憶に強く残っていて。「あれは印象的だったなあ。自分いつか夏に、よみくらべスラムへ難しそうな歌詞を出してやろう」と狙っていたんです。そしてついに出したのが、「あたいの夏休み」だったというわけです。
みなさん、特徴的な読み方をされて盛り上がりました。「どうだむずかしいだろう?!」と意気込んで選んだテキストでしたが、意外にあっさり読みこなされてしまい、うれしい誤算となりました。若原による作品解説のあと、1位となった江藤莅夏さんに3番までをリーディングしていただいて会を閉じました。
●2006年9月13日の録音 ♪PLAYLIST
オープンマイクには、11名の方がエントリーされました。
トップバッター夏撃波さんは「イムジン川」を演奏されました。間奏の口笛がきれいに響いていました。その後は、若原、長谷川さん、岡本さんと、動物に関連したリーディングが続きました。たまたま偶然なんですけれども。
よみくらべスラムには、7名の方がエントリーされました。ISAMUさんのお知り合いで、オープンマイクを観覧されていた野原明日香さんも参加されました。
使用作品の著作権が消滅しているので、この回のスラムは録音を公開します。なお「詩のあるからだ」のよみくらべスラムは「そのまま読まなくてもいい。フレーズを足し引きしてもいい」というルールで行われているため、音声と原作テキストが一致していないものもあります。
使用したテキストは、高村光太郎(1883-1956)の詩「あどけない話」です。「智恵子は東京に空が無いといふ、/ほんとの空が見たいといふ。」という書き出しの、有名な作品です。青空文庫に収録されている「智恵子抄」で読むことができます。現代でも人気の高い詩集ですね。没後50年で著作権が切れたこともあり、取り上げてみました。
ところで。よみくらべスラムの「改変OK」というルールには、良し悪しがあります。「変えることでウケを狙えてしまう」とか「ちょっとした変更だけで個性が出せてしまう」とか。「変えたもの勝ち」になってしまう危険性があるのです。
既に完成されているテキストを(オープンマイクというくだけた場であれ)変えてしまうのは不謹慎ですし、リスキーなことです。シリアスな内容ならなおさらです。……原文そのままの味を引き出すのか、変えてくずして新しい何かを引き出すのか。引き出せるのか。いずれにせよ、元テキストの特性をどれだけ掴めるかが重要になります。ただいじくればいいというものではないんです。
「改変OK」というルールは、改変を推奨するものではありません。作品をあらゆる面から検討してほしい、作品から高い何かを生んで欲しいという思いから認めています。録音音声をお聞きになった方には、どのような「空」が広がったでしょうか。
最後に、1位になった野原明日香さんに「レモン哀歌」をリーディングしていただき、会を閉じました。張りのある緊迫感と、たれこめる儚さと。せつせつとした、いいリーディングだったと思います。
●2006年10月11日の録音 ♪PLAYLIST
8名の方がエントリーされました。
前回のスラム1位、野原明日香さんがオープンマイクに初登場されました。たどたどしい音の切り方が、内容の緊張を高めていたように思います。いい刺激になりました。古村哲也さんの作品「かっこわらい」も面白かったですね。ものすごい勢いでメールを送りあっているような情景が頭に浮かびました。
この日のよみくらべスラムでは、谷川俊太郎の詩「朝のリレー」を用いました。「曲々玉々」というビッグイベントの直前だったため、宣伝と闘魂注入を兼ねて、あえてあからさまなセレクトをしてみました。
青流星さんの、すくすくほがらかな読み方も素敵でしたし、古村さんの、ひとことずつ抑揚に神経はらった丁寧なリーディングも素敵でした。水尾佳樹さんは、「朝のリレー」そのものを読むのではなく、感想や連想したことをポツリポツリと語られました。会場がしーんとはりつめて、全員の耳が傾いていました。のみぴょんさんの、硬い声質で紳士的なリーディングにも味がありました。
1位になったのは長谷川節子さんでした。ナチュラルさが聞く人を安心させ、スムーズにイメージを呼んだのかもしれません。1位となった長谷川さんに「おべんとうの歌」をリーディングしていただいて会を閉じました。意識して淡々と読まれていたようですが、詩の盛り上がりとともに読み方もだんだん抑揚が高くなっていました。テキストの力を感じました。
●2006年11月8日の録音 ♪PLAYLIST
11名の方がエントリーされました。よみくらべスラムは行わず、そのぶん「ひとり6分を目安に」との時間制限をゆるめて開催しました。
ある方が久々に登場されました(エントリーシートによるご指定に従い、お名前は「匿名希望さん」として伏せさせていただきます)。よっぱらいがムードを牽引する、にぎやかで騒がしい、普段のオープンマイクとは違った空気で展開しました(笑)。
シンジさんも久々の登場でした。初参加の渡辺絵里さんは、すてきな歌を聞かせてくださいました。ISAMUさんはジョークが炸裂してましたね、イベント告知なのに笑いを取っちゃって……。ツバキ嬢さんがリーディングの枕にされた恋愛談もおもしろかったな。にぎやか、華やかな夜でした。楽しかったです。
●2006年12月13日の録音 ♪PLAYLIST
12名の方がエントリーされました。
12月でした。2004年12月に始まった「詩のあるからだ」ですが、3年目へ突入したことになります。
野原明日香さんのお話から、政治や歴史などのフリートークがこぼれたりしました。山崎浩太さんは、野本直美の「ジュリア」をピアノで弾き語りされ、秋田洋平さんはお仲間の方とクリスマスソングを演奏してくださいました。かっこよかったです。
ぐうぜん会場にいらしたお客さん(上記リストの「匿名希望さん」。先月の方とは別のかたです)も飛び入り参加してくださって、場がにぎわいました。ある方の誕生日が近かったこともあり、バースデーソングとケーキのプレゼントもありました。
よみくらべスラムでは本間祐の「超短編SENGEN」より超短編「昼の電車」を選びました。「超短編」は近年盛り上がっている小説形態です。わずか数行の短い物語で、その短さゆえに鋭いキレ、鮮やかさ、濃密さ、素早さを持ちます。内容も、言葉遊びからミステリー、恋愛、人生までいろいろ。スマートかつ奥の深い分野です、一度取り上げてみたかった分野でした(今回使用した本「超短編SENGEN」には、超短編作品のほか、超短編の歴史、創作理論についても書かれてあります。興味のある方はぜひご一読を。おすすめです)。
すとんすとんと進むシンジさんの読み方にも、じっとり不気味に進行する夏撃波さんの読み方にも工夫を感じました。匿名希望さんの、ラジオドラマのようなリーディングが光っていましたね。声にハリがあって、はっきりと表情が響いて。物語によく合っていました。
最後に、1位になった江藤莅夏さんに超短編「市場の休暇」を読んでいただいて会を閉じました。散文ですが、江藤さんのリーディングは詩のリズムで行われました。作品の不思議な雰囲気がより強調されたように感じました。超短編の朗読は、シンプルゆえに方向性や色づけに悩まされる、難易度の高いものだったと思います。いい刺激となってもらえたなら幸いです。
●2007年1月10日の録音 ♪PLAYLIST
11名の方がエントリーされました。
年も変わって2007年、トップバッターは水尾佳樹さんにお願いしました。「自分が生まれてから何秒が経ったか」というお話で、数字がいっぱい出てきました。ISAMUさんは地元、大曽根を激励する作品を読まれました。あたたかく、地に足の着いた、地元愛に溢れるテキストです(ところどころ噛んでしまわれたのが残念でした。でも、いい作品だと思います)。
SUEMITSUさんはこの月が初登場です。名古屋のポエトリーリーディングシーンでは音楽や楽器を使われる方があまりいませんが、音楽活動の側からポエトリーの世界に興味を持ち参加して下さいました。録音を聞いていただければわかりますが、とても高品質です。グサッと刺さる部分もありますが、全体的にはオシャレで涼しく、心地よい。安心して、身をゆだねて聞けます。……すごい人が来られたなあ、気が抜けないなあ、とドキドキです。ここから新しい風は吹くのかな。
ツバキ嬢さんにも「おおっ」とうならされました。他の方のパフォーマンスで出た単語やイメージを取り入れて、即興詩をリーディングされたんです。リーディングという、生の場を活かしたアピールでした。言葉の継ぎめがでこぼこしていない、スムーズなリーディングでした。即興とは思えないくらい。
シンジさんは、お友達の出された詩集から2編をリーディングされました。2編とも、食卓のイメージが重なっていました。調理手順の残酷さと、素材のみずみずしい美しさ。しめっぽさと、ドライさ。まじめな読み方がうまく働いた、深みのあるリーディングでした。よかったと思います。
よみくらべスラムでは、高橋源一郎の小説「さようなら、ギャングたち」より、ギャングが銀行を襲撃したシーンを取り上げました。「本物のギャング、本物の銀行強盗に遭遇できて、主人公たちが感激している」というへんてこなシーンです。この物語は小説ですが、ストーリーやセンスの点で、詩や詩人を扱っています。詩作者さんが多い当会で取り上げた場合どのような反応が起こるか……興味がわいたので、本の紹介もかねて選んでみました。
ツバキ嬢さんの瞬発力が生んだキッチュさ。長谷川節子さんが展開させたひょうきんさ。ハイテンションで読み、走馬灯のように一気に見せたシンジさん。疲れたように、ちょっとハスに構えた雰囲気を見せた飛び入り参加の方。安定した江藤節でしっとり幻想的な状況を作り出した江藤莅夏さん。銀行強盗のハプニング性をユーモラスに読んだISAMUさん。水尾さんの加えられた「本当に怖くなったのは、帰って、テレビのニュースを見てからだった」というオチもうまかったです。
どれも面白かったんですが、1位は江藤莅夏さんでした。若原の解説のあと、江藤莅夏さんに同書より「第二部 詩の学校」のラストを読んでいただいて会を閉じました。「詩の学校」で講師をしている主人公が、詩を教えるとはどういうことなのか、誰がどんな詩を書くだろうか、ぼんやりと考えているシーンです。興味がある方はぜひ読んでみてください、名文です。
●2007年2月14日の録音 ♪PLAYLIST
10名の方がエントリーされました。よみくらべスラムは行いませんでした。
たまたま偶然、2月14日バレンタインデーでした。女性陣が男性陣にチョコレートをくださいました(長谷川節子さんは、チョコに添えて手作り詩集もくださいました)。ありがとうございました。義理だとわかっていても、やっぱりうれしいもんなんですね、あれ。ここ何年もバレンタインなんかに縁がなかったものですから、新鮮でした。
若原の状況はさておき。この月も初参加の方がいらっしゃいました(ご希望によりお名前は伏せさせていただきます)。マイクに不慣れなご様子でやや音量が小さくなってしまったのですが、オチにキレのある、スカッとユニークな作品でした。顔面直撃の変化球。ああした作品、好きです。
この日はSUEMITSUさんの炸裂も印象深かったですね。先月は弾き語りで立たれたSUEMITSUさんですが、この回は持ち込まれた機材とトラックを利用してのリーディングでした。創作表現をされている方にはズキンと来る部分も含めつつ、全体としては接した人を高揚させてくれるんです。
そのほか、若原はある書きかけの詩をリーディングしました。私にしては珍しく、恋愛を取り扱った作品です。テキストもリーディングもボロボロでしたが、こんな日でなければ「公開に踏み切れないかもしれない」と思い切って出してみました。のみぴょんさんからいただいた「似たような人は似たようなこと考えのかなあと思って聞いてました」というコメントが微妙にうれし恥ずかしかったです。
青流星さんがリーディングされた、俳優、豊川悦司の詩集は興味深かったなあ。「豊川悦司ってこんなロマンチックなこと書くんだ」と驚きました。ツバキ嬢さんのリーディングにあった「セックスだけが誠実だと思っている」という一語もズキンときました。バレンタインデーだからと恋愛をテーマにしたわけではなかったのですが、この日に乗じた、ある種の親近感がただよっていたと思います。いつも以上になごやかな会でした。
●2007年3月14日の録音 ♪PLAYLIST
11名の方がエントリーされました。この月も、よみくらべスラムは行いませんでした。よい題材がみつからず、間に合いませんでした。
2月はバレンタインデーでしたが、3月はホワイトデーに当たりました。今度は男性陣が女性陣へお菓子をプレゼントしました。若原の包みが一番しょぼかったです。ホワイトデーのプレゼントなんて初めてだったもので……わあん。毎年バレンタインをこなす女性たちはすごいわ、と思い知ったしだいです。
さて、この日はISAMUさん主催によるライブイベント「言葉ズーカ Vol.その8」の直前でもありました。そのため、フリートークやMCでは「告知をいかに飽きさせずに楽しくやるか」という流れが発生していました。くり返しギャグの部分もありつつ(笑)。
先々月、先月に続き、また新たな参加者さんがいらっしゃいました。静岡より麿野マロンさんです。私は2編めに読まれた「ヤマハナグリに関する一考察」にとてもひかれました。冒頭「そういえば昔、ヤマハナグリをポケットに入れて山に行ったよね。そうだね懐かしいね。でも、でも今の子供たちは知らないんだろうな。たしかに、僕らが中学生のころからか、だんだんとプラスチック製のものに変わっていったよね」と始まる、ソワソワさせられる内容でした。春先という時節、どこか呼び起こされるものがあるような。
この日は、終盤になって一般のお客さん(詩のあるからだを目的にいらしたのではない方。飲食にいらしたお客さん)が増えたので、9番めの若原以降は会場の雰囲気が変わりました。10番めツバキ嬢さん、11番め山崎浩太さんは、やりづらかったかもしれません。でも、私は会場に「ご静粛に」と求めるなどのフォローはしませんでした。
当会は、「自分の表現を人前に出してみる場」であると同時に、「自分の表現が一般の方(創作などをされているわけではない方)にも通用するか試される場」でもあります。おふたかたにとってつらい状況だったかもしれませんが、こうした経験ができるのもオープンマイクならではです。
●ふりかえって
まずよみくらべスラム。やっぱり面白いです。よい題材がみつからなくて最近困っているのですが、今後も開催したいですね。ネットに音声をアップできる、著作権の切れた作品がベストなんですが……50年以上前の作品はリーディングに適していないものが多くて悩んでます。いいテキストがあったらぜひ教えてください、よろこんでリクエスト受け付けます。
音声を聞き返して、ISAMUさんやシンジさんのトークに救われていた面にも気づきました。私はいつもローテーションぎみですから。場を沸かせていただける方に多く助けられていました。のみぴょんさんの歌に支えられた部分も多かったと思います。詩が続いてしんみりしすぎたとき、音楽が清涼剤となり、場の雰囲気が切り替わったり。江藤莅夏さんがリーディングを始めたとたんに場が静かになったことも多かったな。いろんな方のカラーが会を作ってきたんだと実感しました。
問題点もひとつ。録音を聞いてよくわかったのですが、「ひと組6分以内を目安に」というルールが形骸化しちゃってます(よみくらべスラムを行わず、時間に余裕のある回はそれでもいいんですが……)。しばらくは現状どおり「6分を超えてもペナルティがあるわけではない」として進めますが、あまり場が緩みすぎてもいけないので、持ち時間に関しては今後考えていこうと思っています。たぶん、何らかの方法で経過時間をお知らせするシステムになると思います。
会場全体としては、新しい方がいらっしゃるようになったり、参加者さんにお連れの方がいらしたり、一般のお客さんが最後まで観覧して下さったり、じわじわとですが賑わいが増してきたように感じてます。参加者さんのパフォーマンスにも幅が出てきた気がします。
定期開催で広く門を開きつつ、毎回なにが展開するかわからない。安定感と不安定さとのなかで、それぞれの参加者さんが表現を試し自身を高めていってもらえたらと思っています。会を乗っ取るぐらいの意気で使っていただければ本望です。
あっというまの2周年越えでした。先々代の「詩のあるくちびる」から数えると、5年が経過したことになります。早いものですね。「詩のあるからだ」2006年度、ありがとうございました!
若原光彦 2007-04-10