ご注意 ここは旧サイトです。
2011年3月(三代目主催者 若原光彦)までの記録として
管理、公開されています(更新履歴)。
2011年夏からの情報は(五代目主催者 三原千尋さん)の
Twitter @ametotaiyo をご参考ください。
2011年3月(三代目主催者 若原光彦)までの記録として
管理、公開されています(更新履歴)。
2011年夏からの情報は(五代目主催者 三原千尋さん)の
Twitter @ametotaiyo をご参考ください。
2007年4月11日〜
2007年8月8日の録音
2007年8月8日の録音
●はじめに
4月から前回(2007年8月)までの録音です。各回の各出演者さんごとにファイルを分けてあります。なお本人のご希望により、一部のお名前・音声は伏せさせていただいてます。そのほか、若原の判断により不掲載とした部分もあります。
●録音を聞くには
いちファイルのみを聞きたい場合は、各所の「♪」リンクをクリックして下さい。MP3ファイルがダウンロードされ、PC内の再生ソフトで再生されるはずです。
複数を連続して聞きたい場合は、各所の「♪PLAYLIST」リンクをクリックして下さい。再生リストファイル(M3Uファイル)がダウンロードされ、MP3ファイルが連続で再生されます。
うまく再生できなかった場合はこちらのページをご参考に。
どの音声ファイルも、MP3、ステレオ、80kbpsです。ごゆっくりどうぞ。
●ぜんぶ連続再生したい場合はこちら
「詩のあるからだ」2007年4月11日〜2007年8月8日の録音
1時間5分 37MB MP3 ステレオ 80kbps
♪PLAYLIST
●2007年4月11日の録音
のっけからすみません、この月は録音に失敗していました……帰宅し気づいてからじだんだ踏みました。惜しいことをしました……。
オープンマイクには10名の方がエントリーされました。
この月は、R・Yさんが初参加されました。主に川柳を書かれているそうです。この日はフリートークをされました。年内〜来年に句集をまとめられるとのこと。期待してます。
ひさびさに鈴木陽一レモンさん、加久裕子さんのご参加もありました。拡散のリーディングは、ラムレーズンのアイスクリームを軸にした作品で、メルヘンチックなようでもあり、ジュブナイルのようでもあり、かけらのようでもあり、物語のようでもある……暖かく涼しい、素敵なリーディングでした。
青流星☆ゆうこさんの「体だけで未来に進むんだ」というフレーズも印象深かったですね。心に残りました。
よみくらべスラムでは、サマー「姉ちゃんの詩集」より詩「ロッテ」「フラワー」を取り上げました。検索してみて下さい、インターネット上で読めます。ことごとくナナメ上にぶっ飛んでいる作品です。詩に関心の薄いかたからも広く評価を得ています。
ギターを弾きながら、楽器による朗読(笑)を行った夏撃波さんにも驚かされましたし、カタコト喋りで初めてラップ調に変化していく加久さんのリーディングも面白かったです。長谷川節子さんがアレンジで加えたひとこと「ナゾの謎めいた姉ちゃん」は、作品、作者を的確に言い表していて鋭いなと思いました。
1位になったのは江藤さんでした。即興鼻歌風に、でたらめソングとしてリーディングされました、これには会場全員が驚いた! あんな江藤さん初めて見ました。笑いが起こりましたし、ほのぼのした雰囲気にもなりました。当然の1位です。……同書から、最後に江藤さんに数作品を読んで頂いて会を閉じました。こちらでもクスクス笑いがおこってましたね。
●2007年5月9日の録音 ♪PLAYLIST
6名の方がエントリーされました。お久しぶりにお会いする、ある方のご観覧もありました。
よみくらべスラムは行いませんでした。人数が少なめだったこともあり、この日は例外的に「ひと組最大6分1回を目安に」との時間制限を廃して進行しました。R・Yさんが2回出演されているのは、ご希望があれば2度目もOKとしたためです。
この月は、岡本はなさんのリーディングが絶品でした。録音でお聞きいただけることを嬉しく思います。けだるいまどろみの中の、しかし眩しく温かく心地よい……素晴らしいテキストとリーディングでした。とても良かったです。
青流星さんの日記も興味深かったです。日記とは思えない、創作性が高いリーディングでした。江藤莅夏さんのツツジに関するリーディングもよかったです。鮮やかでした。
なおわたくしごとで失礼ですが、若原がリーディングした「花(あなたに)」という詩は「花」の草稿にあたるものです。未完成状態のものではありますが、記録として、カットせず音声を公開しておきます。
●2007年6月13日の録音 ♪PLAYLIST
オープンマイクには12名の方がエントリーされました。
つちやしほさんが初参加されました。また、SUEMITSU(すえみつ)さんがSUE(すえ)さんに改名なさいました。
「沙羅双樹ふたたび」さんは、夏撃波さんと沙羅さんのユニットです。この日は「たま」の「オルガン」という曲を演奏されました。沙羅さんの懐かしげなアコーディオンと、夏撃波さんの伸びやかでダンディな声。よかったです。公園で練習していたら……というこぼれ話も面白かったな。
R・Yさんの創作早口ことば「宗雄の胸毛はムダ胸毛」も自分的にはヒットでした(告知がおありだったので、お帰りの直前にもう一度マイクをお貸ししました。上記出演順に2回お名前があるのはそのためです)。
よみくらべスラムでは井上靖(いのうえやすし)の「詩集 北国」より詩「六月」を取り上げました。青のイメージが鮮烈な、わずか3行の詩です。
マイクなしで堅実に読まれた夏撃波さん。独特のテンポを活かしつつ、全体としてはストレートに読まれた江藤さん。MCと現代的なアレンジを加え、日常生活にリンクさせて詩情を展開した水尾さん。それぞれに味がありましたが、こうみれいさんの大胆なアレンジが一歩ぬきん出た結果となりました。林間学校の話、社会科教師の話、若山牧水の短歌「白鳥(しらとり)は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよう」の挿入など、即興的な瞬発力が光ったのだと思います。
……この回で取り上げた井上靖は、大河ドラマ「風林火山」の原作者です。何度も映画化、TVドラマ化されている山岳小説&法廷劇の「氷壁」も有名です。受賞も幾多、20世紀の大作家です。
その方が詩とどんな繋がりを持っていたか、どんな視線をそそいでいたか。「詩集 北国」の全文は「日本ペンクラブ」の井上靖ページで読むことができます。ぜひ「あとがき」をご覧下さい。冷静な認識と、穏やかなまなざし。全ての詩作者に向けられた、心のこもったメッセージです。……詩作品も鮮やかで面白いですよ、散文的で読みやすくもあります。おすすめです。
最後に、1位になったこうみれいさんに同じく「詩集 北国」より、老花火師についての詩「生涯」をリーディングしていただき、会を閉じました。こうさんの若さと渋さ、激しさと静かさが、内容にマッチしかつミスマッチもしていました。危うさと安定感。他の人では絶対に発生しない、独特の雰囲気が生まれていました。
●2007年7月10日の録音
12名の方がエントリーされました。
会場のご都合により、例外的に火曜日の開催でした。かつ、会場の半分が貸し切りで、私語やもろもろの音が普段の3倍くらいありました。当会は「通常営業、一般のお客さんのおられる中で進行する」ことがひとつの特徴でもあり、試練ともなっていますが、この日はさすがにつらい状況でした。……録音音声の方は集中して聞けない、かなり聞き取りづらい状態になってしまっていたため、アップを断念しました。
まさもとさんが初出演されました。岡本はなさんの「ぐるぐる詩の輪」によくいらっしゃってます。読書家で、意欲旺盛な方です。持っておられたノートに大きく「マル秘」の文字があったのがユニークでしたが、作品は荒削りな魅力を持った、ストイックなものでした。
SUEさんは、この日はギターを使わず、肉声のみでのリーディングをされました。SUEさんの歌詞には時おり衝動のようなものが含まれている気がするのですが、演奏ではなくリーディングという形だと、よりその凹凸が突き刺さってくるような気がしました。
のみぴょんさんが歌われた「ゲド戦記」主題歌「テルーの歌」もよかったです。少し体調を崩されていたようですが、声が澄んで響きました。ウクレレの優しい音色に気持ちが落ち着きました。
そのほか、夏撃波さんは「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」というフレーズで有名な室生犀星の詩に演奏と節をつけて歌われました。長谷川節子さんは、お孫さんの命名に関する話題、それに関連する「こども」という詩を読まれました。個人的には、つちやしほさんの読まれた詩「女子高生」にも惹かれましたね。
かなりアウェーな空気での開催でしたが、自分はいちパフォーマーとして、よい経験になったという感想も持ちました。ただ、主催としては参加者みなさんに申し訳なく感じています。厳しい状況もたまには味わうべきだと思うのですが、この日はすこしアウェーすぎました……。
●2007年8月8日の録音 ♪PLAYLIST
通常に戻って、第2水曜の開催です。なんと17名もの方がエントリーされました。
「eRi(えり)」さんは、元「ツバキ嬢」さんです。ハンドルネームが変わられました。ひさびさのご参加です。この日は、BGMを使ってのリーディングでした。戦争への思慮と日常風景とがクロスオーバーし言葉が入り乱れるテキスト。きっぱりした口調と強いビートのBGMが合わさって、くっきりと映えたパフォーマンスでした。さすがです。
ヒラバヤシさんもひさびさのご参加、BGMを使ってのリーディングでした。こちらは、車を運転し、ガードレールやトンネルの黄色いライトがどんどん後方に過ぎ去っていく、疾走感のある内容でした。しかし読み方は飛ばしたものではなく、むしろ着実にスムーズに流れていく、平常心をたたえた表現がされていました。疾走し続けつつ、おしゃれで淡々としたイメージが描かれる、いいリーディングでした。
この日は、ちょっと珍しい方もいらっしゃってました。レモンさんのお子さん「りん」くんです。レモンさんが奥さんの玲さん、息子さんのりんくんとご来場されました。SUEさんのセッションの呼びかけに、のみぴょんさんがジャンベ(パーカッション)で参加。ボーカルとしてレモンさん、レモンさんに抱かれたりんくんが合わさりました。録音を聞いて頂くとわかるのですが、りんくん、妙に間がいいんですよ(笑)。場があたたかく、華やかになりました。面白かったです。
なおこの日は、7月29日の「市のボクシング岐阜大会・予選」のあと、8月19日の「詩のボクシング岐阜大会・本大会」の11日前という日づけでした。そのため、本選出場が決まっている方からは悩みの声や意気込みなどが、惜しくも落選された方からは負け惜しみ(笑)やエールなどが発せられてもいました。いろんな理由で、場に活気がありました。
ひさびさにご来場下さったシンジさんの作品、初参加となる石黒さんの作品、村田仁さんの作品も興味深かったです。華やかなBGM付きのパフォーマンスがある一方で、お3方のように、ストイックできっちりとしたリーディングもありました。特に村田仁さんの作品は、散文調で、説明のみを淡々と続けていく、無駄な描写が一切ない、完成されたテキストでした。私は、作りこまれた壁の向こうに広い空間があるような印象を受けました。少し遠く深く感じられるのだけれど、安心して入っていけるような。
のみぴょんさんの、男性(低音)と女性(高音)を歌い分けた「木綿のハンカチーフ」も素晴らしかった。歌や演奏もよかったですし、テクニカルな面でも目をひきました。……参加者さんが多かったからというだけではなく、なにか、それぞれのキャラクターを発揮させるものがあった、そんな回だったと思います。とても楽しかったです。
●ふりかえって
まず、参加者さんの増加が顕著でした。観覧を目的に来場される方もすこし増えました。空間的、雰囲気的な変化はあまり起こっていませんが、層が厚くなったという気がします。接点、楽しみが増したのはよいことだと思います。
SUEさんのセッション、R・Yさんのフリートーク、青流星さんの日記、若原の川柳など、ポエトリー・リーディングに収まらないものがときおり出されたことも特徴に挙げられるかもしれません。個々の散発的なものなのか、それとも流れや閉塞感のようなものが背景にあるのか。主催としては気になるところです。
当会とは直接関係はありませんが、この間、5月の「維新」「刈谷市朗読会」、7月の「言葉ズーカVol.その9」、8月の「詩のボクシング岐阜大会」と、比較的規模の大きなイベントがあったことも印象的です。鈴木陽一レモンさんは「維新」で多ジャンルとのコラボレーションを行い、長谷川節子さんは主催の朗読会を好評のうちに終えました。ISAMUさんは言葉ズーカの動員を大幅に増やして評価を高め、こうみれいさんは「詩のボクシング」でポテンシャルを発揮、みごと優勝を飾りました。……慌しさ忙しさもありましたが、そのぶん密度の濃い、充実した4ヶ月だったと思います。
……2007年4月〜8月、ありがとうございました!
4月から前回(2007年8月)までの録音です。各回の各出演者さんごとにファイルを分けてあります。なお本人のご希望により、一部のお名前・音声は伏せさせていただいてます。そのほか、若原の判断により不掲載とした部分もあります。
●録音を聞くには
いちファイルのみを聞きたい場合は、各所の「♪」リンクをクリックして下さい。MP3ファイルがダウンロードされ、PC内の再生ソフトで再生されるはずです。
複数を連続して聞きたい場合は、各所の「♪PLAYLIST」リンクをクリックして下さい。再生リストファイル(M3Uファイル)がダウンロードされ、MP3ファイルが連続で再生されます。
うまく再生できなかった場合はこちらのページをご参考に。
どの音声ファイルも、MP3、ステレオ、80kbpsです。ごゆっくりどうぞ。
●ぜんぶ連続再生したい場合はこちら
「詩のあるからだ」2007年4月11日〜2007年8月8日の録音
1時間5分 37MB MP3 ステレオ 80kbps
♪PLAYLIST
●2007年4月11日の録音
のっけからすみません、この月は録音に失敗していました……帰宅し気づいてからじだんだ踏みました。惜しいことをしました……。
オープンマイクには10名の方がエントリーされました。
- 江藤莅夏さん
- 若原光彦
- R・Yさん
- 夏撃波さん
- SUEMITSUさん
- ISAMUさん
- 青流星☆ゆうこさん
- 鈴木陽一レモンさん
- 長谷川節子さん
- 加久裕子さん
この月は、R・Yさんが初参加されました。主に川柳を書かれているそうです。この日はフリートークをされました。年内〜来年に句集をまとめられるとのこと。期待してます。
ひさびさに鈴木陽一レモンさん、加久裕子さんのご参加もありました。拡散のリーディングは、ラムレーズンのアイスクリームを軸にした作品で、メルヘンチックなようでもあり、ジュブナイルのようでもあり、かけらのようでもあり、物語のようでもある……暖かく涼しい、素敵なリーディングでした。
青流星☆ゆうこさんの「体だけで未来に進むんだ」というフレーズも印象深かったですね。心に残りました。
よみくらべスラムでは、サマー「姉ちゃんの詩集」より詩「ロッテ」「フラワー」を取り上げました。検索してみて下さい、インターネット上で読めます。ことごとくナナメ上にぶっ飛んでいる作品です。詩に関心の薄いかたからも広く評価を得ています。
- R・Yさん(1票)
- 夏撃波さん(0票)
- 江藤莅夏さん(4票)
- 長谷川節子さん(0票)
- ISAMUさん(1票)
- 加久裕子さん(2票)
ギターを弾きながら、楽器による朗読(笑)を行った夏撃波さんにも驚かされましたし、カタコト喋りで初めてラップ調に変化していく加久さんのリーディングも面白かったです。長谷川節子さんがアレンジで加えたひとこと「ナゾの謎めいた姉ちゃん」は、作品、作者を的確に言い表していて鋭いなと思いました。
1位になったのは江藤さんでした。即興鼻歌風に、でたらめソングとしてリーディングされました、これには会場全員が驚いた! あんな江藤さん初めて見ました。笑いが起こりましたし、ほのぼのした雰囲気にもなりました。当然の1位です。……同書から、最後に江藤さんに数作品を読んで頂いて会を閉じました。こちらでもクスクス笑いがおこってましたね。
●2007年5月9日の録音 ♪PLAYLIST
6名の方がエントリーされました。お久しぶりにお会いする、ある方のご観覧もありました。
よみくらべスラムは行いませんでした。人数が少なめだったこともあり、この日は例外的に「ひと組最大6分1回を目安に」との時間制限を廃して進行しました。R・Yさんが2回出演されているのは、ご希望があれば2度目もOKとしたためです。
この月は、岡本はなさんのリーディングが絶品でした。録音でお聞きいただけることを嬉しく思います。けだるいまどろみの中の、しかし眩しく温かく心地よい……素晴らしいテキストとリーディングでした。とても良かったです。
青流星さんの日記も興味深かったです。日記とは思えない、創作性が高いリーディングでした。江藤莅夏さんのツツジに関するリーディングもよかったです。鮮やかでした。
なおわたくしごとで失礼ですが、若原がリーディングした「花(あなたに)」という詩は「花」の草稿にあたるものです。未完成状態のものではありますが、記録として、カットせず音声を公開しておきます。
●2007年6月13日の録音 ♪PLAYLIST
オープンマイクには12名の方がエントリーされました。
つちやしほさんが初参加されました。また、SUEMITSU(すえみつ)さんがSUE(すえ)さんに改名なさいました。
「沙羅双樹ふたたび」さんは、夏撃波さんと沙羅さんのユニットです。この日は「たま」の「オルガン」という曲を演奏されました。沙羅さんの懐かしげなアコーディオンと、夏撃波さんの伸びやかでダンディな声。よかったです。公園で練習していたら……というこぼれ話も面白かったな。
R・Yさんの創作早口ことば「宗雄の胸毛はムダ胸毛」も自分的にはヒットでした(告知がおありだったので、お帰りの直前にもう一度マイクをお貸ししました。上記出演順に2回お名前があるのはそのためです)。
よみくらべスラムでは井上靖(いのうえやすし)の「詩集 北国」より詩「六月」を取り上げました。青のイメージが鮮烈な、わずか3行の詩です。
- 夏撃波さん(0票)
- 水尾佳樹さん(3票)
- 江藤莅夏さん(4票)
- こうみれいさん(5票)
マイクなしで堅実に読まれた夏撃波さん。独特のテンポを活かしつつ、全体としてはストレートに読まれた江藤さん。MCと現代的なアレンジを加え、日常生活にリンクさせて詩情を展開した水尾さん。それぞれに味がありましたが、こうみれいさんの大胆なアレンジが一歩ぬきん出た結果となりました。林間学校の話、社会科教師の話、若山牧水の短歌「白鳥(しらとり)は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよう」の挿入など、即興的な瞬発力が光ったのだと思います。
……この回で取り上げた井上靖は、大河ドラマ「風林火山」の原作者です。何度も映画化、TVドラマ化されている山岳小説&法廷劇の「氷壁」も有名です。受賞も幾多、20世紀の大作家です。
その方が詩とどんな繋がりを持っていたか、どんな視線をそそいでいたか。「詩集 北国」の全文は「日本ペンクラブ」の井上靖ページで読むことができます。ぜひ「あとがき」をご覧下さい。冷静な認識と、穏やかなまなざし。全ての詩作者に向けられた、心のこもったメッセージです。……詩作品も鮮やかで面白いですよ、散文的で読みやすくもあります。おすすめです。
最後に、1位になったこうみれいさんに同じく「詩集 北国」より、老花火師についての詩「生涯」をリーディングしていただき、会を閉じました。こうさんの若さと渋さ、激しさと静かさが、内容にマッチしかつミスマッチもしていました。危うさと安定感。他の人では絶対に発生しない、独特の雰囲気が生まれていました。
●2007年7月10日の録音
12名の方がエントリーされました。
会場のご都合により、例外的に火曜日の開催でした。かつ、会場の半分が貸し切りで、私語やもろもろの音が普段の3倍くらいありました。当会は「通常営業、一般のお客さんのおられる中で進行する」ことがひとつの特徴でもあり、試練ともなっていますが、この日はさすがにつらい状況でした。……録音音声の方は集中して聞けない、かなり聞き取りづらい状態になってしまっていたため、アップを断念しました。
- 若原光彦
- 水尾佳樹さん
- まさもとひろとさん
- こうみれいさん
- 夏撃波さん
- 匿名さん
- つちやしほさん
- ISAMUさん
- 長谷川節子さん
- 江藤莅夏さん
- のみぴょんさん
- SUEさん
まさもとさんが初出演されました。岡本はなさんの「ぐるぐる詩の輪」によくいらっしゃってます。読書家で、意欲旺盛な方です。持っておられたノートに大きく「マル秘」の文字があったのがユニークでしたが、作品は荒削りな魅力を持った、ストイックなものでした。
SUEさんは、この日はギターを使わず、肉声のみでのリーディングをされました。SUEさんの歌詞には時おり衝動のようなものが含まれている気がするのですが、演奏ではなくリーディングという形だと、よりその凹凸が突き刺さってくるような気がしました。
のみぴょんさんが歌われた「ゲド戦記」主題歌「テルーの歌」もよかったです。少し体調を崩されていたようですが、声が澄んで響きました。ウクレレの優しい音色に気持ちが落ち着きました。
そのほか、夏撃波さんは「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」というフレーズで有名な室生犀星の詩に演奏と節をつけて歌われました。長谷川節子さんは、お孫さんの命名に関する話題、それに関連する「こども」という詩を読まれました。個人的には、つちやしほさんの読まれた詩「女子高生」にも惹かれましたね。
かなりアウェーな空気での開催でしたが、自分はいちパフォーマーとして、よい経験になったという感想も持ちました。ただ、主催としては参加者みなさんに申し訳なく感じています。厳しい状況もたまには味わうべきだと思うのですが、この日はすこしアウェーすぎました……。
●2007年8月8日の録音 ♪PLAYLIST
通常に戻って、第2水曜の開催です。なんと17名もの方がエントリーされました。
- R・Yさん
- 水尾佳樹さん♪
- まさもとひろとさん
- 石黒さん♪
- SUEさん♪
- 長谷川節子さん♪
- つちやしほさん♪
- 岡本はなさん♪
- ISAMUさん♪
- eRiさん
- のみぴょんさん
- 鈴木陽一レモンさん
- 若原光彦♪
- 江藤莅夏さん♪
- シンジさん♪
- ヒラバヤシアキオさん
- 村田仁さん
「eRi(えり)」さんは、元「ツバキ嬢」さんです。ハンドルネームが変わられました。ひさびさのご参加です。この日は、BGMを使ってのリーディングでした。戦争への思慮と日常風景とがクロスオーバーし言葉が入り乱れるテキスト。きっぱりした口調と強いビートのBGMが合わさって、くっきりと映えたパフォーマンスでした。さすがです。
ヒラバヤシさんもひさびさのご参加、BGMを使ってのリーディングでした。こちらは、車を運転し、ガードレールやトンネルの黄色いライトがどんどん後方に過ぎ去っていく、疾走感のある内容でした。しかし読み方は飛ばしたものではなく、むしろ着実にスムーズに流れていく、平常心をたたえた表現がされていました。疾走し続けつつ、おしゃれで淡々としたイメージが描かれる、いいリーディングでした。
この日は、ちょっと珍しい方もいらっしゃってました。レモンさんのお子さん「りん」くんです。レモンさんが奥さんの玲さん、息子さんのりんくんとご来場されました。SUEさんのセッションの呼びかけに、のみぴょんさんがジャンベ(パーカッション)で参加。ボーカルとしてレモンさん、レモンさんに抱かれたりんくんが合わさりました。録音を聞いて頂くとわかるのですが、りんくん、妙に間がいいんですよ(笑)。場があたたかく、華やかになりました。面白かったです。
なおこの日は、7月29日の「市のボクシング岐阜大会・予選」のあと、8月19日の「詩のボクシング岐阜大会・本大会」の11日前という日づけでした。そのため、本選出場が決まっている方からは悩みの声や意気込みなどが、惜しくも落選された方からは負け惜しみ(笑)やエールなどが発せられてもいました。いろんな理由で、場に活気がありました。
ひさびさにご来場下さったシンジさんの作品、初参加となる石黒さんの作品、村田仁さんの作品も興味深かったです。華やかなBGM付きのパフォーマンスがある一方で、お3方のように、ストイックできっちりとしたリーディングもありました。特に村田仁さんの作品は、散文調で、説明のみを淡々と続けていく、無駄な描写が一切ない、完成されたテキストでした。私は、作りこまれた壁の向こうに広い空間があるような印象を受けました。少し遠く深く感じられるのだけれど、安心して入っていけるような。
のみぴょんさんの、男性(低音)と女性(高音)を歌い分けた「木綿のハンカチーフ」も素晴らしかった。歌や演奏もよかったですし、テクニカルな面でも目をひきました。……参加者さんが多かったからというだけではなく、なにか、それぞれのキャラクターを発揮させるものがあった、そんな回だったと思います。とても楽しかったです。
●ふりかえって
まず、参加者さんの増加が顕著でした。観覧を目的に来場される方もすこし増えました。空間的、雰囲気的な変化はあまり起こっていませんが、層が厚くなったという気がします。接点、楽しみが増したのはよいことだと思います。
SUEさんのセッション、R・Yさんのフリートーク、青流星さんの日記、若原の川柳など、ポエトリー・リーディングに収まらないものがときおり出されたことも特徴に挙げられるかもしれません。個々の散発的なものなのか、それとも流れや閉塞感のようなものが背景にあるのか。主催としては気になるところです。
当会とは直接関係はありませんが、この間、5月の「維新」「刈谷市朗読会」、7月の「言葉ズーカVol.その9」、8月の「詩のボクシング岐阜大会」と、比較的規模の大きなイベントがあったことも印象的です。鈴木陽一レモンさんは「維新」で多ジャンルとのコラボレーションを行い、長谷川節子さんは主催の朗読会を好評のうちに終えました。ISAMUさんは言葉ズーカの動員を大幅に増やして評価を高め、こうみれいさんは「詩のボクシング」でポテンシャルを発揮、みごと優勝を飾りました。……慌しさ忙しさもありましたが、そのぶん密度の濃い、充実した4ヶ月だったと思います。
……2007年4月〜8月、ありがとうございました!
若原光彦 2007-08-31