毎月第2水曜 名古屋八事 マイクパフォーマーの楽園

詩のあるからだ
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2011年3月(三代目主催者 若原光彦)までの記録として
管理、公開されています(更新履歴)。
2011年夏からの情報は(五代目主催者 三原千尋さん)の
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2005年2月9日のきろく
●11組の方がエントリーされました

  1. 長谷川節子さん(詩)
  2. 荻原裕幸さん(短歌)
  3. tomさん(詩)
  4. 古村哲也さん(詩)
  5. シバタレイさん(パフォーマンスアート)
  6. 鈴木陽一レモンさん(フリースタイル)
  7. 江藤莅夏さん(詩)
  8. ISAMUさん(詩)
  9. サトルさん(詩)
  10. ツバキ嬢さん(詩)
  11. コギトさん(詩)

荻原さんは季刊「短歌ヴァーサス」第五号に掲載の自作短歌を朗読されました。「ろどりげす誰だつたかなろどりげす光の入江にて座礁する」という首が強烈に印象的でした。誰なんでしょうロドリゲス。私は「朝の手と旅から帰つたときの手がカーテンを同じ仕種で開く」という一首も心に残りました。

古村さんは風邪をおしてのご来場でした。声が低くなっていましたが、それがハスキーで良かったとの感想もありました。自作の「あなたに会いに行こう」という詩を、全体にしっとりと、しかし途中でガッと勢いの増すリーディングで聞かせていただきました。

レモンさんは、レイさんからの流れを受けて「パフォーマンスアートとは、NIPAFとはどんなところか」といった説明を含んだ即興、フリースタイルの朗読をされました。「ドライヤーでページをめくる。手ではめくらない」「○○は本物のパンク!」など、先の読めない展開が関心をひきつけました。抑揚の裏返った部分もユニークでよかったです。

今回はじめていらっしゃったサトルさんは、リーディングに最近挑戦し始めたとのことでしたがとても堂々と心のこもった声でリーディングされました。テキストもよかったです。「みんなは二本の足で歩いているよねえ」「四本の足で、歩いてみないか」という、親しみと不気味さの両方からゾクゾクしました。

ツバキ嬢さんは、多くの苗字が登場する恋愛にまつわる自作のほか、関東の馬野幹(まのみき)さんの作品を朗読されました。かわいらしい声質でしたが、余韻が色っぽく、一部から求婚コールまで出ました。意志の強さを感じさせた自己紹介もポイントが高かったのではないでしょうか。

全体的に、とてもアットホームなオープンマイクとなりました。自分も気が楽でしたし、みなさんもくつろいで楽しんでいただけていたようです。

●「よみくらべスラム」ついに復活

詩のあるからだの前身である「詩のあるくちびる」で名物企画だった「よみくらべスラム」が復活、開催されました。希望者にテキストをお渡しし、休憩をかねた約三分の間に読み方など悩んでいただきました。出演は司会者がランダムで決めました。

  1. 鈴木陽一レモンさん(0票)
  2. コギトさん(1票)
  3. 古村哲也さん(1票)
  4. 江藤莅夏さん(4票)
  5. ツバキ嬢さん(2票)
  6. サトルさん(2票)

今回のテキストは、漫画──

書名:Water
著者:魚喃キリコ
発行:株式会社 青林堂
1996-01-20 初版
1996-10-31 第3版
ISBN4-7926-0265-3 C0079
定価980円(本体951円)


──より「sugar」でした。題名を含めてもわずか5行という短い文です。憎しみとも愛しさとも読め、最後は「好きよ」の一言で終わります。原文をご紹介したいところですが、著作権の問題もあるので転載できません、ご了承ください。

「必ずしも原文そのままに読まなくてもいい」というルールを意識してか、崩して読まれたかたがほとんどでした。今回はその崩し方がいかに作品に合っているかが得票のポイントになったようです。

レモンさんは若干コミカルに、古村さんは男性の視点からガンと朗読されました。コギトさんは、最後にテキストを丸め投げることで苛立ちを表現。ツバキ嬢さんはテキストの「あの頃は楽しかった」という言葉に「ルーズソックスのままで走り回っていたから」などの情景を加えて朗読されました。サトルさんは「ぴったり」「ひっぺがして」といった語の発音に情感を込め、熱くも静かなリーディングをされました。

そして優勝は江藤莅夏さん。大幅なアレンジを行い、美しい伊勢弁で「ゆうべは気持ちよかった」「ティッシュにくるんで」と原文にない詩文を聞かせてくれました。アンニュイな面もある朗読と、激しくも読めるテキストの微妙な差。テキストを見ながら聞いていると、良い意味で裏切られ内容がより深く楽しめたのではないかと思います。

優勝者である江藤莅夏さんに、同じく魚喃キリコ「Water」より表題作「Water」を読んでいただいて会を閉じました。思い出すようにぽつりぽつりと発せられる声は、うすい訛りの温かみと都会的なひんやりした空気とを同時に持っていました。場の求心力・集中力がすごかったです。「さすが1等賞」と思いました。気持ち良く会を閉じることができました。

●「よみくらべスラム」やれてよかった

今回、前半は自分の司会のたどたどしさもありスローな空気での会となりましたが、後半「よみくらべスラム」の緊張感は凄まじいものでした。全員が出演者の声と姿勢に集中している様子がはっきりわかりました。

「詩のあるくちびる」のころの「よみくらべスラム」では詩や小説、歌詞などからテキストを取っていたことが多かったのですが、「詩のあるからだ」では「詩に限らない、パフォーマンス全般の会」として(詩や文芸に限らず)なるべくマンガや映画などからテキストを選んでいきたいと思っています。「こんないい言葉があるよ」「これをいろんな人の声で聞いてみたい」など、情報やリクエストがあれば聞かせてください、参考にしたいと思います。

2月9日、ありがとうございました!

若原光彦 2005-02-15

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